導入ステップサービスを始めるまでの手順です
内容については理解したし、自社での導入効果も得られそう。でも次に何をすれば良いのかわからない・・・
ここでは電子帳簿保存の具体的な導入のステップについて説明します。
電子帳簿保存の導入の流れを下記のステップで説明します。
- 1.導入の検討
- 2.業務の整理
- 3.サービス選定
- 4.申請
1 導入の検討
まずは自社に導入した場合にどれくらいの効果が得られるかを確認します。
(導入効果の判定には「簡易診断」もご利用ください)
- 1.対象となりそうな書類をピックアップ
- 2.ピックアップした書類にまつわる課題を整理
- 3.電子保存により、どのように課題が解決・軽減されるかをまとめる
といったステップで検討を進めましょう。
紙のやり取りにより業務フローが複雑になってしまっているものや、紙の保管に困っているものが対象になってきます。
書類の種類
資金や物の流れに直結・連動する書類
- ・領収書
- ・請求書
- ・契約書
- ・納品書
- ・預かり証
- ・借用証書
- ・預金通帳
- ・小切手
- ・約束手形
- ・有価証券受渡計算書
- ・社債申込書
- ・契約の申込書(定款的約款無し)
- ・送り状
- ・輸出証明書
- ・帳簿代用書類
資金や物の流れに直結・連動しない書類
- ・検収書
- ・入庫報告書
- ・貨物受領書
- ・見積書
- ・注文書
- ・契約の申込書(定款的約款あり)
2 業務の整理
ステップ1「導入の検討」で導入の効果が見込めそうであれば具体的な検討を進めます。
現状の業務フローと導入後の業務フローを整理し、現在の問題点と導入後効果を整理しておきましょう。
業務を整理する際には「国税庁:適正事務処理規程サンプル」にも目を通す事をお勧めします。規程サンプルに目を通すことで電子帳簿保存法でどのような運用が求められているのか理解するのに役立ちます。
「国税庁:適正事務処理規程サンプル」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/jirei/ans2/pdf/A54_01.pdf
また、業務フローやコストは利用するシステムの影響を受けるので「3.サービス選定」と並行して進めると良いでしょう。
業務の整理例(経費精算の場合)
現状の経費申請の流れ
申請者
管理部
電子保存導入後の経費申請の流れ
申請者
確認担当者
管理部
導入効果
電子保存導入により毎月〇〇時間(○○○○円)の削減効果が期待できる。
また削減した時間をより生産性の高い仕事に利用する事で○○○が期待できる。
3 サービス選定
続いて利用するサービスを選定します。
電子帳簿保存法には使用するシステムに関する要件が決められていますので、必ず電子帳簿保存法に対応したシステムを利用してください。
主なシステム要件
- スキャニングの精度維持(解像度/階調/書類の大きさ)
- 決められた解像度、カラーモードでスキャンする必要があります
- 入力日の特定
- 決められた期間内に書類がスキャンされタイムスタンプが付与されている事を確認する機能が必要です
- 訂正削除の有無の確認が出来る手段(タイムスタンプと一括検証)
- タイムスタンプという仕組みを使い、特定の時点でその電子帳簿が存在し、その後改ざんされていないことを一括で検証できる機能が必要です。
- 訂正削除の事実と内容(履歴)を確保するシステムスキャニングデータと帳簿間での相互での関連性の確認
- スキャンデータに差し替えがあった場合の訂正や削除の履歴を参照する機能が必要です。
- 主要な記録事項、範囲指定、組み合わせ等の検索
- 電子帳簿が会計帳簿上のどのデータの根拠資料となっているのかを確認出来る機能が必要です。
取引年月日、金額、支払先など、主要な項目で検索できる機能が必要です
また、サービスを選定する際は下記の点に注意しましょう。
1.書類の対応範囲
経費精算に特化したサービスやあらゆる書類に対応したサービスなど幅広く存在します。
自社で使用したい書類への対応を確認しましょう。
2.利用形態(クラウド or オンプレミス)
対象システムがクラウド型なのか自社で運用するオンプレミス型なのかを確認しましょう。
クラウドとオンプレミスの一般的なメリット・デメリットは下記の通りです。
クラウド型 | オンプレミス型 | |
---|---|---|
初期導入コスト | 〇 | × |
ランニングコスト | 〇 | × |
導入期間 | 〇 | × |
セキュリティ | △ | 〇 |
カスタマイズ | △ | 〇 |
モバイルアクセス | 〇 | △ |
3.自社システムとの連携
経費精算システムや会計ソフトとの連携が必要な場合は連携の可否を確認しましょう。
4.スマートフォンの対応
スマートフォンからも利用したい場合は、スマートフォン対応の可否を確認しましょう。
5.入力代行サービスの有無
電子帳簿保存法に対応したサービスの中には、検索要件に対応するためのデータの入力代行を行うサービスも存在します。
6.費用
利用するサービスの費用を確認しましょう。
4 申請
自社の業務ルールと利用するサービスが決まったらいよいよ申請の準備です。
申請書は下記から入手可能です。
「国税庁:国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/pdf/6007.pdf
市販のシステムを利用する場合は申請書以外に下記の2種類の書類の用意が必要になります。
- ・システムの操作説明書利用するサービスから提供を受けるか、自前で作成する必要があります。
- ・適正事務処理要件を含む事務処理規程を明らかにした書類
業務規程サンプルを参考に作成しましょう。
「国税庁:適正事務処理規程サンプル」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/jirei/ans2/pdf/A54_01.pdf
一通りの準備が出来たら、申請書を「書類の保存に代える日」の3ヶ月前までに税務署に提出します。
申請書の提出後3ヶ月間は「みなし運用」となり、却下の通知が無ければ「みなし承認」となり、本運用が始まります。